リック・ウェイクマン




リック・ウェイクマンという名前を耳にすると、先ず「イエスのキ−ボ−ド奏者」という言葉が出てくる!
実際、「こわれもの」や「危機」等、イエスの名盤と呼ばれる作品には必ずウェイクマンが在籍していた。

しかし、実際にはイエスマンとしてよりも、ソロ活動の方が遥かに長いのである!
ロック、クラシック、オペラ、映画音楽等、ソロアルバムのジャンルは凄く広く、実はロック調のアルバムの方が少ないのである。

ウェイクマンの父は彼に「音楽は幅広く何でも聴くように」と教えたらしい。
また、同時に「クラシックをマスタ−すれば、どんな音楽でも熟せる」とも!

イエスにおいては、曲を提供するよりも、その演奏テクニックやアレンジメントにおいてグル−プに貢献したようだ。
ただテクニカルなのではなく、曲をより壮大にさせる魔法のような演奏である。
面白く言ってしまうと、曲に大袈裟さを加えるとでもいうか!

例えば、イエスの組曲『危機』の「盛衰」においてのパイプオルガンソロは、当初、ハウのギタ−パ−トだったらしいが、ウェイクマンの提案によりパイプオルガンに!
それが大成功を収め、世界的な名曲として受け入れられたのだ。
「燃える朝焼け」についても同じことが言える。
作曲に彼の名前がクレジットこそされてはいないが、ハウと同じく、この曲の細部にわたる曲構成は、ウェイクマンなくしては成し得なかったものだろう!

それにしても、イエスマンの中でも、彼ほどグル−プに再加入&再脱退を繰り返してるメンバ−はいないだろう!
どうやら他のメンバ−自身もイエス・キ−ボ−ドの座席はウェイクマンのために常に開けてる気がしてならない。

彼には6人の息子たちがいる。
彼のテクニックはその息子達に受け継がれ、特に長男オリバ−と次男アダムの活躍は目覚ましいものがある。
長男オリバ−は、近年までのイエス公演で父リックの代わりにプレ−をし、そのプレ−は高く評価されていたし、次男アダムに関しては、父リックと一緒に『ウェイクマン・ウィズ・ウェイクマン』なるプロジェクトで、世界中のツア−に出た実力者だ!

リック・ウェイクマンはかつてインタビュ−でこう答えていた。
「僕が死んだ後もイエスは存続し続けるだろう。」
若い頃からアルコ−ルが原因か?何度か心臓の疾病により死に掛けている。
もしかしたら、元ディ−プ・パ−プルのジョン・ロ−ドやELPのキ−ス・エマ−ソンのように、ある日突然、我々ファンの前からその姿を消してしまうかもしれない???
いつかそんな日が来ても、「イエスのキ−ボ−ド奏者」=「リック・ウェイクマン」という気持ちは、世界中のファンの心に残るような気がする。




Rick Wakeman(2014年7月1日 東京国際フォ−ラム ホ−ルC)

2008年、六本木でのライヴの時は6台のキ−ボ−ドに囲まれ、エレクトリックな演出をしてくれたウェイクマンですが、今回はグランドピアノ1台というシンプルなクラシックコンサ−トでした。
「Canon」の音楽に導かれて、ウェイクマンさんがステ−ジに登場です。

原曲を頭の中で描きながらウェイクマンのピアノを聴きました♪

やはりこの人はイエスの黄金期のメンバ−を何気に纏めてたんだなあと気付かされました!
そして、本来、この人はロックミュ−ジシャンではなく、クラシックピアニストなんだと!


クラシック曲のアレンジあり、デビット・ボウイやレノン&マッカ−トニ−の曲をアレンジしたり、イエスの名曲をピアノでアレンジしたり、勿論ソロ作品からと、曲は幅広かったです!
とてもト−クの好きな人で、英語の苦手な私は半分ぐらいしか分かりませんでしたが(;^_^A曲毎に楽しいト−クを挿み、会場の雰囲気を楽しくしてくれるマジシャンでした♪

東京公演は昨夜の1回だけでしたが、ウェイクマンの音楽だけでなく、人柄にも触れられて、とても心に沁みたライヴでした。。


ちょっと自信ないですが、私の記憶によると、セットリストは下記のとおりです。

[第1部]
Canon in D Major
Catherine of Aragon 〜 Catherine Howard
Morning has broken
Journey To The Centre Of The Earth
The meeting / ABW&H
Merlin The Magician
[第2部]
Canario
Life on Mars ? / David Bowie
The Dance of a Thousand Lights
Arthur
And You and I 〜 Wonderous Stories 〜 And You and I / Yes
Eleanor Rigby / Lennon-McCartney
[アンコ−ル]
Gone But Not Forgotten




ARWとしての来日公演(2017年4月19日 Bunkamura オーチャードホール)


ご本家YESの来日公演の5か月後、そのかつてYESに在籍していた中心人物達がARWというプロジェクトとして来日してくれました。

前回の来日公演時よりも更にお太りになりましたか!?ウェイクマン(;^_^A
数年前の国際フォーラムでのピアノコンサートも素晴らしかったですが、マントを羽織り、ミニムーグを含む10台のキーボードを自在に操るウェイクマンはカッコいい

一部のウェイクマンファンには怒られてしまうかもしれませんが、彼ぐらいの技量のロックキ−ボ−ド奏者はたくさんいると思う。
実際のところ、イエスに在籍してたパトリック・モラッツの方がもしかしたらテクニック的にも上かもしれない!?
それでも、世界中のファンが「イエスのキ−ボ−ド奏者=リック・ウェイクマン」と思うのは、彼が単にテクニックだけでファンを魅了してるのではなく、その音楽性であり、アレンジメントの素晴らしさ、そして彼だからこそできるパフォ−マンスだと思う。

何気にアドリブで弾いてる彼のハモンドソロやム−グソロ等はとてもメロディ−が美しく、多分その技がなせるのは、彼の頭の中にはクラシックで学んできた楽譜が刻まれていて、その基本があるからこそ、瞬時の内に指先から鍵盤にその音を奏でるのだと思う。

実は80年代の90125メンバー時のアルバムは個人的にはあまり好みではなかったのですが(^^ゞウェイクマンが弾いてると何故か許せてしまいます
オリジナルにはないウェイクマンなりのアレンジが施され、こんな私でも聴けてしまうのだ
デスコ音楽もウェイクマンのマジックにかかると不思議とプログレになってしまいます
さすが音の魔術師v(^^)





とてもでないが、彼が今までにリリ−スした作品すべてを紹介することはできないので、その代表作だけをここで紹介したいと思う。


Six Wives Of HenryVIII
01 Catherine of Aragon
02 Anne of Cleves
03 Catherine Howard
04 Jane Seymour
05 Anne Boleyn/The Day Thou Gavest Lord Hath Ended
06 Catherine Parr

'70年代初期イエス在籍時にリリ−スした初ソロアルバムで、当時のイエスメンバ−達もゲスト参加している。
「ヘンリ−8世」を題材にするなんて、さすがイギリス人である!
またその音楽性が凄い。
ハモンドやグランドピアノ、ミニム−グやメロトロン等(時にはパイプオルガンもか!)によるアレンジは素晴らしい。
本作を凝縮(抜粋)したかたちで、当時の参加グ−ルプであるイエスのステ−ジで、「ヘンリ−8世の6人の妻の抜粋」のプレ−を聴くことができる。



Journey To The Centre Of The Earth
01 Journey
02 Recollection
03 Battle
04 The Forest

1974年、母国イギリスで発売されたこの作品は、同月半ばから全英アルバムチャートに登場し、5月25日付けで、それまで合計15週に渡ってアルバム・チャートのトップにあったカーペンターズの「The Singles: 1969-1973」を蹴落として1位を獲得。
10月までトップ30圏内に入っていた。
録音、発売当時は彼はまだイエスに在籍していたが、イギリスなどのチャートでイエスでさえも成しえていなかったトップを取ったその成功は、1974年の彼のイエスからの脱退の原因の一つとされている。
アメリカでも大ヒットし、ウェイクマンのアルバムとしては初の全米トップ10入りを果たした。
5月18日はウェイクマン自身の誕生日であるにもかかわらず、イエスの第1回目となる?脱退日となってしまったこの日は、皮肉にも彼のソロアルバムがアルバム・チャート1位となる記念すべき日ともなったのだ!



Myths & Legends Of King Arthur
01 Arthur
02 Lady Of The Lake
03 Guinevere
04 Sir Lancelot And The Black Knight
05 Merlin The Magician
06 Sir Galahad
07 Last Ballad

ウェイクマンの3部作というと、前2作『ヘンリ−8世の6人の妻』『地底探検』そして本作『ア−サ−王の円卓の騎士達』が挙げられる。
基本的には、『地底探検』時のバンドメンバ−が本作のレコ−ディングに携わっている。
おそらく『地底探検』の成功の勢いで、別のテ−マでスタジオ録音したものか?と想像できなくもないが!
それでも、決して手抜きをする筈がなく、なかなか完成度の高い作品に仕上がっている。
英国紳士らしい作品だ。



Live At Hammersmith
01 Arthur
02 Three Wives
03 Journey
04 Merlin the Magician

実際のステ−ジでは他のソロアルバムからの曲も演奏されてるだろうが?本ライヴアルバムの収録曲を見れば、ウェイクマン本人がどれだけ3部作に拘っているのかがわかる!
キ−ス.エマ−ソンのジャズタッチとは違い、あくまでもクラシックなタッチで様々な音色を奏でるウェイクマンのプレ−は見事である。



 Classical Connection
01 Gone But Not Forgotten
02 After The Ball
03 Elgin Mansions
04 Sea Horses
05 Merlin The Magician
06 Catherine Of Aragon
07 Catherine Howard
08 1984 Overture
09 Hymn
10 Finale (Incorporating Julia)

1991年にリリ−スされた本作は、ウェイクマンのそれまでリリ−スされて来たソロアルバムからの名曲をチョイスし、アコ−スティック.ピアノでアレンジ、再録音したもの。
この企画は私個人としてはとても嬉しかった!
リリ−ス当時はこればかり聴いていたほどだ!
そんなにテクニカルにピアノを弾いてる訳ではなく、BGM風にリスナ−に聴きやすいように気配りしているところが、ウェイクマンらしい♪



Piano Album
01 A Wish
02 A Glimpse of Heaven
03 Catherine Howard
04 Morning Has Broken
05 Wondrous Stories
06 Chapel Hill
07 St Michael's Isle
08 Space Oddity
09 Life on Mars?
10 The Meeting
11 And You and I
12 Merlin the Magician
13 Gone But Not Forgotten

先頃、6年振りに来日公演を果たしてくれたウェイクマンですが、同じスタイル(ピアノ・オンリ−)でのコンサ−ト模様を収めた1995年の作品です。
Classica Wakeman』の流れを組むライヴだと思われますが、エレクトリックなサウンドから放れ、アコ−スティックなクラシック・バ−ジョンのウェイクマンが聴けます。
考え方によっては、ウェイクマンの本来の姿なのかもしれません。



Wakeman With Wakeman
■Disk 1
01 Lure of the Wild
02 Catherine Howard
03 Eleanor Rigby
04 Past and Present
05 The Myths and Legends of King Arthur
06 Catherine Parr
■Disk 2
01 Journey to the Centre of the Earth
02 Paint It Black

1994年にリリ−スされた、二男アダムとのプロジェクトである『Wakeman With Wakeman』のライヴ音源。
ウェイクマン親子のツインキ−ボ−ドを、若手ベ−シストとベテランドラマ−であるトニ−.フェルナンデスがバックでサウンドを支えるというもの。
さすがに、ツインキ−ボ−ドでサウンドが厚く、聴きごたえ充分である。
それにしても、ドラムスのフェルナンデスは、長年ウェイクマンと一緒にプレ−してきただけあり、ウェイクマンの楽曲をすべて熟視してる素晴らしいスティックさばきである!



The Six Wives Of Henry VII -Live At Hampton Court Palace
01 Tudorture/1485
02 Catherine Of Aragon
03 Kathryn Howard
04 Jane Seymour
05 Defender Of The Faith
06 Katherine Parr
07 Anne Of Cleves
08 Anne Boleyn
09 Tudorock

73 年のアルバム『The Six Wives of Henry VIII』をステージ上で再演したライブパフォーマンス。
アルバム曲を中心とし、新作の3曲を含む全11 トラックを収録。
名作アルバムが復活するにふさわしい宮殿という場所で73 年当時の楽曲が現在に甦る!
同じライヴ音源のDVDもリリ−スされていて、そちらの方は曲毎にこれまたナレ−ションが入っている。
それにしても、演出がウェイクマンらしく派手で豪華である。
CDの音源だけではその派手さはわからないが、マントを羽織ったウェイクマンの横には、しっかりと6人の妻に扮する女優達が一緒に登場し、ウェイクマンはすっかりヘンリ−8世気分である!



Living In Tree / In Concert
■Disk 1
01 Living Tree (Part 1)
02 Anyway and Always
03 23/24/11
04 Morning Star
05 House of Freedom
06 Living Tree (Part 2)
07 Forever
08 Garden
09 Just One Man
■Disk 2 (Live)
01 And You And I
02 Living Tree Part 1
03 Morning Star
04 Long Distance
05 The Garden
06 Living Tree Part 2
07 Time And A Word
08 Just One Man
09 23/24/11
10 Southside
11 House of Freedom
12 The Meeting

本作はウェイクマンのソロではなく、イエスの旧友ジョン.アンダ−ソンとのコラボレ−ションアルバムです。
イエスでの問題作『海洋地形学の物語』ではあれだけ衝突し合った2人でしたが、そんな衝突も彼等にとっては一時的な通過点に過ぎず、目指す音楽は同じだったようです。
この作品のプロモーションも兼ねて行われたツアーからのハイライト・パフォーマンスを収めたライブ・コンピレーションもDisk2に収録されています。
「Just One Man」「The Living Tree part 1」「23/24/11」などアルバム収録曲は勿論、「And You And I」「Time And A Word」「Long Distance」など2人が在籍した時期のイエス・クラシックスも披露しています。